漫画・アニメのパロディ行為
漫画・アニメのパロディ行為~侵害になる行為、ならない行為~
コミックマーケット(コミケ)では有名漫画・アニメの二次創作(パロディ)作品をよく見かけます。
これらは、元の作品のストーリーの設定やキャラクターの設定を改変して作り出されたものです。
こうした行為に何か問題はあるのでしょうか?
知っておくべきことを整理しました。
現在の著作権法ではパロディ行為を認める規定は存在しません。従って、元の作品の著作者に無断でパロディ作品を作り出す行為は著作権侵害になる可能性があります(具体的には「翻案権」、「同一性保持権」といった権利が問題になります。詳細は割愛します)。
コミケでの販売行為
著作権侵害であるかどうかの判断は、元の作品との関係から個別具体的に判断しなければならず、難しい面があります。
・元の作品が想起されるもの
元の作品がそっくりそのままコピーされたものやトレースされたものは元の作品が想起されるため、侵害の可能性がより高いと考えられます。
・元の作品が想起されないもの
元の作品が想起されないものであれば、それは元の作品とは無関係の著作物だと言えるでしょうから侵害の可能性は低いと考えることができそうです(はたしてコミケでそのようなものが扱われているかという疑問はありますが)。
侵害にならない行為
・著作者から許諾を得ている行為
元の作品の著作者から許諾を得て行う行為は侵害になりません。
・私的な使用
私的な使用、例えば、趣味として自分のノートに書く、友達2~3人に見せるために書く、といった限られた範囲での使用であれば侵害にはなりません。
侵害になる行為
元の作品の著作者から許諾を得ずに、私的な使用を超えて、元の作品が想起される作品を、インターネットを通じて送信する行為、インターネットやコミケなどを通じて販売・譲渡する行為は侵害行為です。
コミケと著作権の現状
著作権侵害の問題があるにも関わらず、コミケが黙認されている現状を考察すると、以下のようなことが挙げられます。
・著作権侵害は「親告罪」であること
元の作品の著作者が通報することによってはじめて刑事的な問題になります。このように被害者からの告訴を必要とする犯罪を「親告罪」と言います。差止請求や損害賠償請求などの民事的な問題も、結局は著作者が弁護士費用などを負担して行動に移すことが前提になります。
・規模が小さいこと
元の作品の売上をゆるがすような大きなビジネスの場合は訴訟などに発展しやすいでしょうが、コミケのように特定場所で個人が小規模に行うものに、著作者はわざわざ対応できないということがあるでしょう。
こうした現状は、元の作品の著作者の「黙認」状態にすぎず、パロディ行為が他人の権利を侵害していることに変わりはないことに留意すべきです。