2018-08-22

商品化の事例

今日、さまざまなキャラクターがさまざまな商品、サービスに用いられています。ぬいぐるみなど商品の形態になる場合もあれば、ゲームキャラクターのような無形物の場合もあります。その他にも以下のキャラクター例に見ることができるように、商品やサービス、企業の広告塔にもなります。 

キャラクターを商品やサービスに用いた事例 

(商標登録第2521471号)
(指定商品:紙製幼児用おしめ 等)
(商標登録第4433607号)
(指定商品:ビール 等) 
(商標登録第1832694号)
(指定商品:おもちゃ 等) 
(商標登録第3254722号)
(指定商品:遊戯用器具 等)
(商標登録第5479873号)
(指定商品:菓子及びパン 等)
(商標登録第5543338号)
(指定役務:ぱちんこホールの提供 等) 
(商標登録第5630232号)
(指定役務:生命保険契約の締結の媒介 等) 
(意匠登録第1438536号)
(物品:人形) 
(意匠登録第1533425号)
(物品:ぬいぐるみおもちゃ) 
(以上、特許情報プラットフォームより) 

このように、さまざまな企業でキャラクターを新商品に結びつけようとする活動が行われています。 

キャラクターの商品化の事例~コアラのマーチ~ 

例えば、最近では、コアラのマーチ(株式会社ロッテ)のキャラクターを商品化しようとするコアラのマーチプロジェクト(運営主体は株式会社ロッテ、凸版印刷株式会社、株式会社アサツー ディー・ケイ)があります。 

コアラのマーチのキャラクターを自社商品に使いたい企業は、アサツー ディー・ケイに商品化を申請し、審査が通れば商品化するというものです(下記商品化イメージは、ロッテコアラのマーチプロジェクトの商品化・募集要項、より)。 

<プロジェクトのイメージ> 

<キャラクターの使用料> 

商品化したい企業が支払うロイヤリティは、商品上代(税別)×4%以上(ロイヤリティ料率)×生産数量、となっています。 

上の計算式における「ロイヤリティ料率」がコアラのマーチのキャラクター価値の核心部分だと考えることができます。商品価格の4%、またはそれ以上のロイヤリティを支払っても自社商品に使うメリットがあると感じる企業があれば商品化に向かいます。 

上記プロジェクトでは、商品化した企業から支払われたロイヤリティは、仲介的な役割であるアサツー ディー・ケイやキャラクターを所有するロッテなどの運営主体に分配されるものと考えられます。 

キャラクター作者の視点での商品化 

上の例は企業目線(キャラクターを活用したい企業)の話ですが、キャラクターの作者目線だとどのようになるでしょうか?

(1)自己管理の場合 

作者がキャラクターを自己管理する場合、自らキャラクターを使いたい企業を探し、または、企業から商品化のオファーがあり、自らその企業とラインセンス契約を締結することになります。 

ロイヤリティ収入を分配することなく手にできるメリットがある一方、キャラクターの管理や契約などに関する専門知識が求められるというデメリットがあります。 

(2)第三者に委任する場合 

作者がキャラクターの管理を第三者に委任する場合、受任者がキャラクターを使いたい企業を探し、または、企業から商品化のオファーがあり、受任者が窓口になってその企業とラインセンス契約を締結することになります。 

第三者に管理を任せるため、作者はキャラクターの管理や契約などの専門知識が不要である一方、委任に係る費用(例えば、ロイヤリティを受任者に分配)が発生します。

キャラクターの使用料率 

キャラクター使用に係る料率相場がどの程度なのか?3~5%が多いなどと言われることがありますが、人気や商品数量などによって変わっていくものです。 

情報が公開されていることも稀ですので、実際のところはよくわかりませんが、公募情報や新聞記事などから得られる情報としては、以下(ア)~(ウ)のような料率が挙げられます。 

(ア)コアラのマーチ・・・4%以上(商品化公募情報から)

(イ)くまモン・・・0%(海外企業への解禁にあたっては小売価格の5~7%を徴収する。当初は、熊本県内企業の海外利用にも3~5%が検討されていた。)(日本経済新聞2018年2月20日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27154910Q8A220C1LX0000/ ) 

(ウ)サザエさん(民事訴訟・サザエさん事件より)・・・運行収入の3%(バスの車体両側にサザエさん、カツオ、ワカメを作出し、貸し切りバス業務を営む企業に対する裁判所の判断。判決文には、漫画その他のキャラクターを商品に使用することを許諾する契約において、その使用料はキャラクターが使用される商品の販売価格の少なくとも3パーセントを下らない額で定められているのが業界の慣行であると認められる、との記載)(事件番号 昭和46(ワ)151 昭和51年5月26日 東京地方裁判所) 

これらはあくまで目安のひとつです。同一のキャラクターでも時間経過とともに人気が変わってくるでしょうし、それを商品化する業界や企業規模にもよるでしょう。結局はケースバイケースということになります。 

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