商品化の留意点(その1)
キャラクターを利用したい企業の留意点(その1)
今日、キャラクターを使った商品、サービスがさまざまな企業から提供されています。自社独自のキャラクターを使う場合もあれば、有名な(他社の)キャラクターを使う場合もあります。
他社キャラクターの場合、そのキャラクターを所有・管理する企業が著作権や商標権などを確保しているため(下例)、無断で自社ホームページにアップしたり、商品化したりすると違法行為になってしまいます。
有名なキャラクターの例



(特許情報プラットフォームより)
従って、こうしたキャラクターを自社事業に活用したい場合、権利者の許諾を得ることが必要になります。
許諾を得るにあたり、どのようなことに留意すべきでしょうか?
くまモンのキャラクターを有する熊本県の利用許諾を例にとりあげてみます。
<くまモン利用申請サイト>
https://kumamon-official.jp/list00007.html
キャラクター利用までの流れ
大まかな流れは下記①~⑤の通りです。事業者そのものの審査と利用内容の審査があり、問題がなければ利用(商品化)が認められます。

利用にあたっての注意点
形式的な流れだけでは見えづらい留意事項を抽出しました。くまモンに限らず、キャラクターの商品化を検討する際には気をつけておきたいことです。
・利用態様(ポーズ、色など)
くまモンのデザインや組み合わせは限定されています。サイトの説明にある通り、お行儀が悪いので、頭に何かを乗せる、食べ物の上に座らせる、といったことは認められていません。また、くまモンは特定の商品の「おすすめ」をできないため、自社商品をくまモンに持たせる、指さしさせる、といったことも認められていません。従って、くまモンというキャラクターを自社商品に合わせてポーズや色などをイメージチェンジするといったことは制限されます。
これに違反すると著作権法における同一性保持権や翻案権といった権利が問題になります(詳細は割愛)。従って、キャラクター利用企業は、どのようなキャラクターデザインを想定しており、それが権利者の提示する内容におさまるのか、デザインの変更は認められるのか確認しておく必要があります。
・媒体(ポップ、ネットなど)
商品への利用(商品の個装箱への表示)が認められたからといって、店内のポップやチラシ、ホームページへの掲載も認められるというものではありません。くまモンの場合、カタログやチラシなどにも使う場合は、あわせて一括申請することが求められています。商品そのものだけでなく、広告、宣伝などビジネスの一連の流れにおいてキャラクターを用いる媒体を確認しておく必要があります。
・利用範囲(地域、商品など)
くまモンの場合、熊本県外で製造された食品を熊本県外で販売することは認められていません。これは県としての施策によるものです。他のキャラクターを利用する場合も同じように製造、販売地域、商品、サービスによって制限がないか確認しておく必要があります。
・独占性
公的機関である熊本県のくまモンは非独占的です。すなわち、どのような企業がくまモンを商品化しているか気にすることなく、くまモンを利用できます。これに対して一般的な有名キャラクターは1カテゴリーにつき1社のみであることが多いです。独占的な契約の場合、他社の追従を排除できます。一方、非独占的な契約である場合、同業他社が追従してくる可能性がある点、留意すべきです。
・委託
くまモンを扱った商品を第三者に製造委託する場合、その委託先との間で、利用許諾を受けた個数以上の製造が行われないように義務付ける契約を利用者の責任で行い、数量管理を行わなければなりません。くまモンに限らず、製造委託先が勝手に販売した場合は責任を負うことにもなります。
・著作権表示
くまモンの場合、「©2010熊本県くまモン」または「©2010kumamoto pref. kumamon」と表示しなければなりません。他のキャラクターにおいて著作権表示の要否は契約によります。なお、著作権表示としては一般的に、「©マーク」(Copyrightと表記されることも有)、「著作物の発行年」、「著作権者名」の3要素で表現されています。
・利用料
くまモンの場合、当分の間、無料とされており、利用料はかかりません。一方、他のキャラクターの場合、知名度や利用範囲などに応じて利用料が変わってくると考えられます。以前の記事<商品化の事例>を参照ください。
・利用期間
くまモンの場合、3年が限度になっています。他のキャラクターの場合、1年契約から複数年契約までさまざまです。更新は可能か、期間が経過した後の在庫品の取り扱いはどうなるのか確認しておく必要があります。