2018-05-25

音楽著作権

音楽著作権とJASRAC著作権使用料のしくみ 

著作権は、作者によって創作された表現物(音楽、キャラクターデザインなど)を保護するための権利ですが、音楽著作権に関して、日本音楽著作権協会(JASRAC)が、ヤマハ音楽教室など全国の事業者から、著作物の使用料として年間受講料収入の最大2.5%を徴収する方針を示したことが波紋を呼んでいます。 

ここで、音楽著作物使用料のしくみについて、身近なコンサートを例に見ていきたいと思います。 
浅草では、大学生のジャズ公演「早慶明三大学ビッグバンドジャズフェスタ」が毎秋の恒例行事となっています。台東区で活動する早稲田、慶応、明治大の校友会が主催し、手作りイベントながら、プロ奏者もゲスト出演し、学生のトップバンドとの競演が楽しめます。 

音楽著作物使用料のしくみ

1.利用者は使用料をJASRACに支払う

演奏会では、ジャズの楽曲を利用しますので、主催者は、JASRACから利用許諾を受けたうえで、JASRACの「使用料規程」にもとづき所定の使用料(音楽著作物使用料)を支払う必要があります。

使用料については、計算式が定められていますので、公演1回ごとの使用料は、浅草公会堂で開催される三大学ジャズに当てはめると、(入場料2,500円×定員数1,000名×80%)×5%=10万円となります。 (計算式はJASRACの「使用料規程」より) 

2.JASRACは使用料を権利者に分配する

JASRACは、利用者から受け取った使用料を、著作者(作詞者・作曲者)などの権利者に分配します。このとき、JASRACの「管理手数料規程」にもとづき所定の管理手数料が差し引かれます。

演奏等の管理手数料率(実施料率)は25%と定められていますので、三大学ジャズに当てはめると、10万円×25%=2万5千円がJASRACの取り分となり、残りの7万5千円が権利者に分配されることになります。 

著作権者の許諾なく利用できる場合

1.著作権が消滅している場合

著作権は、創作と同時に発生し、原則として著作者が亡くなって50年が経過すると消滅しますので、保護期間が満了した著作物は、著作権者の許諾なく利用できます。 多くのクラシック音楽のコンサートなどが、これに該当します。 

2.営利を目的としない上演等

次の3つの要件を“すべて満たす”場合も、著作権者の許諾なく上演・演奏・上映することができます。 

  1. 営利を目的としないこと
  2. 聴衆又は観衆から料金を受けないこと
  3. 実演家等に報酬が支払われないこと

文化祭で生徒が開催するコンサートや高校野球におけるアルプススタンドからの応援などが、これに該当します。 

音楽教室・JASRAC訴訟の争点

著作権は、演奏権、複製権(コピー)、公衆送信権(インターネットでの配信)など複数の権利からなりますが、それぞれの権利に対して、著作者の許諾が必要となっています。 

JASRACによる音楽教室における著作物の使用料徴収に対して、ヤマハ音楽教室などは、「音楽教育を守る会」を結成し、訴訟を提起しました。守る会は、音楽教室でのレッスンには、著作権法に定める演奏権※が及ばないことを次の点から主張しています。 

※法第22条「著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として上演し、又は演奏する権利を専有する。」 

  • 音楽教室における演奏は、「公衆」に対する演奏ではないこと 
  • 音楽教室での教師の演奏、生徒の演奏いずれも「聞かせることを目的とした」演奏ではないこと 

守る会は、「司法の判断が出るまで徴収に応じない」としていて、JASRACも、徴収に応じない事業者に対して、裁判の結果が出るまでは「個別の督促を行わない」ということで、結論は司法判断を仰ぐことになります。

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