企業、商品のロゴとラインセンス
企業や商品のシンボルとも言えるロゴマーク。その印象的なデザインを見ただけで、その企業や商品のイメージが浮かんでくることが多いはずです。
ロゴの商標登録
こうしたロゴは有名になるほどその価値が高まっていきます。自社以外の第三者がロゴを使いたいというケースもでてきます。例えば、一番上のロゴはMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)のロゴマークであり、ダイムラー社が商標権を取得しています。ご存知の通り、自動車のエンブレムになっています。








(以上、特許情報プラットフォームより)
ロゴのラインセンス
この誰もが知るベンツのロゴマークは、タカラトミー社のトミカなど他社の別の商品にも用いられています。幼少時、トミカのミニカーで遊んだことがある人も多いかと思います。トミカは様々な自動車メーカーの車種を対象にした車玩具で、ダイムラー社のメルセデス・ベンツも商品の一つになっています(下図)。

上記商品図下部には、「“Mercedes-Benz”, ※, ※ and the design of the enclosed product are subject to intellectual property protection owned by Daimler AG. They are used by TOMY Company, Ltd. under license.」と明記されています。(※ロゴマークは表示できないため省略)
メルセデス・ベンツの文字、ロゴマーク、商品デザインはダイムラー社の知的財産であり、これらをタカラトミー社がライセンスを受けて使用している、という内容です。
ラインセンス料
使用の対価がいわゆるラインセンス料です。料率などの条件はブランドの強さなどで変わってきます。
知的財産のライセンス料率については特許庁が報告書を公開しています。当該報告書の主な部分をグラフ化したものを示します。

企業のブランド戦略
自動車メーカーはなぜ玩具メーカーにロゴマークなどの知的財産の使用を許可しているのでしょうか?
子供の頃に自社商品に親しんでもらうことが将来の顧客の囲い込みにつながるという思惑があるのかもしれません。



そして、玩具メーカーと自動車メーカーの一致する思惑は、上記のように知的財産のライセンスという形で実現されています。
このように企業や商品のロゴは、企業ブランド、商品ブランドの象徴として用いられるだけでなく、上記事例のようにライセンスのツールとして利用されることもあります。
知的財産の保護
企業や商品のロゴは知的財産として保護されるものです。ベンツのロゴマークは車だけでなく、玩具についても商標権が取得されています。従って、ベンツのロゴマークを商標権者であるダイムラー社に無断で車の玩具に使うと商標権侵害になってしまいます。
商標権を他人に使用させる場合、法的には専用使用権を設定するか、通常使用権を許諾します。商標法に専用使用権(商標法第30条)と通常使用権(同第31条)というラインセンスに関わる規定があります。
