2018-05-25

マンガの著作権

マンガの著作権とお金のはなし

手塚治虫先生が、漫画「ジャングル大帝」や「鉄腕アトム」を発表してから約70年が経ちます。現代では漫画は世界的なブームとなり、世界中の人々に愛されるコンテンツとなりました。

最近では、なんでも便利なネット社会の負の側面か、漫画の違法コピーや違法アップロードなどによって、漫画の著作権についても話題になっています。

趣味で漫画家を書いている人、プロ漫画家を目指している人にとって、描いた作品の著作権はとても重要なものです。 

では、漫画作品の著作権と「お金」の関係について考えてみましょう。 

著作権の発生のはなし 

まず漫画作品の著作権は、作品が完成した瞬間に発生します。すべての著作物は、完成と同時に著作権が発生するため、雑誌に載らなくても、すなわち未発表のものでも、作者は著作権を有することになります。 どんな漫画でも、自作であれば権利が生じるということです。(パクリはダメです) 

実名の登録や第一発行年月日等を登録できる「著作権登録制度」という文化庁の制度もありますが、登録の有無は著作権の効力とは関係ありません。 

権利とお金の関係 

漫画雑誌に掲載される漫画や単行本になる作品については、出版社と作者の間で交わす慣習的な契約方法として、原稿料と出版契約があります。 

原稿料のはなし 

雑誌に掲載するときの「原稿料」って聞いたことがあると思います。一般的な「原稿料」は雑誌掲載の対価です。この原稿料契約では、著作権の貸し借り・譲渡はありません。(契約書を提示されたらよく読んでください)

雑誌に載っている、挿絵・イラスト・コラムなども、これと同じ「原稿料」としてあつかわれています。 

「原稿料」の金額は、作者の知名度や、作品の人気度などによって出版社と作者の間で決めることができます。 

出版契約のはなし 

雑誌に掲載された作品が人気になると、次は単行本を出すことになりますね。いざ単行本発売となると作者にはまとまった印税収入が入ってくるようになるでしょうから、契約の内容と権利関係はさらに重要になってきます。 

では「印税」とはどういったものでしょうか?「税」とつく言葉ですが、税金とは関係ありません。「印税」は言い換えると「著作権の使用料」です。 

漫画作品を単行本にする場合には、出版社と作者の間で、出版契約と印税契約(著作権使用料契約)を交わします。

出版社に単行本を売る権利を渡す代わりに、売値の何パーセントかを作者がもらえるような契約になりますが、出版社や本の内容などにより作者に7%~10%くらいの支払いをすることが多いようです。(初版の場合や、重版の場合にパーセンテージが変わったりします。) 

著作権の管理のはなし 

話はちょっと外れますが、出版契約をすると出版社は必要な原稿などの引き渡しを受けた日から6カ月以内に出版(販売)を開始しなければなりません。 

出版社は、作品を出版する独占的な権利を得る代わりに、6カ月以内という義務を負うことになります。(著作権法第81条) 

さらに、出版契約の有効期間は契約書で定めますが、期間を決めずに契約をすると、最初の出版の日から3年で自動消滅してしまいます。改めて契約書の内容は重要ですね。 

著作権とは著作物を複製したり、上映したり、ネット配信したり、翻訳したりする様々な権利の総称です。従って、漫画の雑誌掲載や単行本化だけでなく、映画化、翻訳出版、ネット配信する場合にも関わってきます。 

今後、漫画作品の著作権管理はますます重要になってきます。まずは契約内容よく読んで、作者の権利がどうなっているのか慎重に確認することが大事なのです。 

漫画の「著作権」は作者が氏名公表した作品であれば、作者の死後50年で自動消滅します。冒頭の手塚治虫先生の作品は、先生の没後50年ですから、2039年までが著作権保護期間になります。

関連記事