2018-05-23
デザインの意匠権
商品デザインを創作時にクリエーターが気をつけること:意匠権の観点から
人形やおもちゃ、さらにはパソコン、ロボットなど商品の外観は、購買意欲に直結する重要な要素です。“かわいい”、“かっこいい”、“未来的”など、それを見た人の心に突き刺さるほど話題になりますし、売上にも大きく影響するものです(下図)。

(特許情報プラットフォームより)

(特許情報プラットフォームより)
クリエーターが企業の依頼に基づきこうした商品外観(デザイン)を考え、企業がそのデザインについて特許庁に意匠登録出願し、「意匠権」を取得することがよくあります。クリエーターとして気をつけるべき点をまとめました。
- 公知デザインは意匠登録されない
- 公知デザインに類似するデザインも登録されない
- 創作容易なデザインは登録されない
1.公知デザインは意匠登録されない
例えば、上図のデザインをインターネット上やイベントなどで公開してしまった場合、“公知”のデザインになってしまいます。そのようなデザインをそのまま商品デザインとしても意匠登録されることはありません。“公知”というのは守秘義務のない第三者に知られていることを意味します。
2.公知デザインに類似するデザインも登録されない
例えば、上図のデザインをインターネット上などで公開してしまった場合に、そのデザインではなくても、ちょっとだけ修正を加えた(類似する)デザインでも登録されません。
3.創作容易なデザインは登録されない
例えば、上図のデザインがインターネット上などで公開されてしまった場合に、左図上半身と右図下半身を入れ替えただけの単なる組合せは、創作容易なデザインだと判断され、意匠登録されない可能性があります。
著作権の保護対象としてのデザインの場合、類似デザインが存在するかどうか、創作難易度が高いか低いか、について問われることはありません。しかし、意匠権の保護対象としてのデザインの場合、こうしたことが特許庁の審査において厳密に審査されます。従って、クリエーターが意匠登録を見据えたデザインの依頼を受ける場合などには、上記事項について留意すべきです。
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